らせん式日記・6   満開の桜の木の下で

 らせん式日記・6   満開の桜の木の下で_c0030327_23164065.jpg 数kmにわたる水戸市の桜並木通り(千波町~吉沢町)の桜も、今年が見納めだそう。道路拡張のため、伐採されてハナミズキに取って変わられるのだとか。そう思うと、なんだか例年にも増して、満開の桜の木をいとおしく感じてしまいます。(写真があまり美しくなくて残念・・・。)

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 桜の木の下から青空を見上げる。私の大好きなことのひとつ。   千波湖にて。


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 桜を眺めながら、考えました。桜の花と、私の日本人としてのアイデンティティが結びついたのは、いつのことだったのだろうと。

 つらつらと記憶をたどっていくと、それは20歳のとき。訪れた武漢(中国)の病院では、おびただしい数の桜が美しく咲き誇っていました。聞けばその病院は、かつて日本軍の建物だったところ。そしてそれらの桜は、兵士たちによって植えられたのだと。

 その美しい桜の姿はまるでさまざまな残虐さへの免罪符のようで、私は日本人であることがなんだか申し訳なく、いたたまれないような気持ちになりました。

 そうして時はたって、8年後。ジャカルタで大学生をしていたときのことです。小指を骨折して弱気になり、一気にホームシックにかかりました。またそのときは四季のない熱帯の都会に長くいることで、私の心がどこか磨耗しているような感じでもありました。

 そんなとき、私の心のなかで強烈にわき起こった思い、それは「日本に帰って、桜が見たい!どうしても見たい!」というものでした。そう思うだけで、じわりじわりと涙が出てきてしまい、迷わず航空会社に帰りの便の予約を入れに行きました。

 ソウル経由の帰国便。ソウル~東京間の予約が取れなかったにもかかわらず、飛んでしまえばなんとかなると思って、とにかくジャカルタからソウルまで飛びました。けれども、結局何ともならず、ソウルで一泊するはめに。翌日、成田に着いて桜が目に入ったときは、うれしくて泣けてしまいました。

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 桜の季節になると、やっぱり日本人でよかったな、と思ってしまうのです。
by emispiral | 2005-04-14 23:07 | らせん式日記

水戸 恵藍舎だより


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