らせん式日記・209 自然生クラブ 柳瀬敬さん講演会

発足当初から会員になっている、NPO法人 水戸共に育つ会主催の
柳瀬敬(やなせたかし)さんの講演会に行ってきました。

柳瀬さんは、20年前、筑波山麓で
知的障害者と共同生活をしながら
有機農業と表現活動に取り組む
自然生(じねんじょ)クラブを立ち上げた方。

恵藍舎で香月人美さんのポエトリー・リーディング公演を
主催したご縁で柳瀬さんに初めてお会いして、
すごい方だなあ・・・と思ったのが7年ぐらい前のことです。
それから自然生クラブの活動は、
いつもなんとなく気になっている・・・という感じでした。

さて、柳瀬さんのお話。
本来はみんなのものである「公共」(国、地方自治体)が
私的には使えないということから、誰のものでもなくなってしまっていると
柳瀬さんは言います。
そのため、「公共」と「私」(個人・民間)の中間に位置する
「新しい公共」を作り出すことが大切なんだと。

つまり、国のもの、市のものと特定はされないけれど
みんなのものである・・・という場を作るということ。
そしてそこが生き生きと機能するように
人やお金の流れをみんなで作っていくこと。
まさに自然生クラブはその最たる場所でしょう。

それから労働のお話も。
資本主義の発達から、私たちは対価労働(お金をもらえる労働)こそ
意味があり、非対価労働(お金にならない労働)は労働とみなされない
という考え方を当たり前のように信じ込まされています。

でもそうすると、主婦の人たちは働いていないってこと?
という疑問がわいてきます。
介護される人も、「介護士さんの仕事を創出する」という
仕事をしているとも考えられます。

そんな考え方から、最近は世界中で
ベーシックインカムというアイディアが
注目されるようになってきました。
対価労働をしているしていないにかかかわらず、
国民全員に最低限の所得を保障しようというもの。
日本だとだいたい8万円ぐらいと言われています。

そうすると障害のある人の生活は保障され、
また年金の問題もクリアになります。
生活のために嫌な仕事する人は減り、
終身雇用の呪縛から解き放たれると同時に
企業が淘汰される・・・。

私自身まだまだ勉強不足で、
ベーシック・インカムについては意見が定まらないけれど
改めて 「こういうことなのか・・・」と分かってすごく勉強になりました。

また自然生クラブの活動の様子を
映像で見れたのも、とってもうれしかったです。
泥でオブジェを作るメンバーの生き生きとした姿、
本当によかった。鳥肌が立ちました。


ひるがえって、自分のところに目を向けると
自遊学校には、学校に行っている子も行っていない子(いわゆる不登校)も
発達障害のある子もない子も、通ってきています。
私にとっては、どんな子も門を叩いてくる子は
みな大切な生徒。

自然生クラブとはスタイルが違うけれど
障害のある・なし、その他のものさしを超えたところで
ひとりひとりが自分らしく生きることを目指す・・・
というところでは、共通点がたくさんあるなあ、と
とても触発されました。

また、自然生クラブに比べると、
自遊学校は、小さな小さな歩み。
でも決して焦らず、今、通ってきている子どもたちを大切にして
ゆっくり進んでいこう!と改めて思いました。
by emispiral | 2010-07-27 21:57 | らせん式日記

水戸 恵藍舎だより


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