インドネシア語・4   いいも悪いもなく  

 今日は、ある公的機関で通訳のお仕事をしてきました。私が担当になったのは、バリ島出身のDさん、21歳。純朴な感じの好青年です。

 いろいろと話をしていくと、彼は日本に来る前、農業を営んでいた亡き父親に代わって畑で働いていたとのこと。当時の一ヶ月の収入は20万ルピア(約5千円)だそうで、家族3人を養うのにあと10万ルピア(約2500円)ぐらい必要と感じたのだそうです。この貨幣価値の落差たるや!!

  アジアを旅した人ならあまり驚くことはないとは思いますが、今日の私はなんだか改めて愕然としてしまいました。もちろんインドネシア国内では物価もかなり安いけれど・・・。 ずうっと日本の中にいると、日本がいろんな意味で恵まれた状況にあるということ、忘れてしまいますね。

 それと海外に行くようになってしばらくたってから知ったことなのですが、日本人が海外に行く場合にビザが必要な国というのは、発展途上国の人たちが外国に行く場合に比べて格段に少ないのです。例えば、日本人が英国に行くときにビザは必要ないのですが、インドネシア人は必要になります。これは日本という国が、相手国に信用されているからなのですね。

 自分の国が経済的に豊かだったり、国際的に信用されていたりといった境遇に生まれたということ、それはある意味、とても幸運なことです。いろんな国に行きやすいし、それによってさまざな経験をするチャンスにも恵まれやすくなります。 けれどもだからといって偉いというわけでもないし、またその反対の境遇の人が可哀想というわけでもなくて。

 また何度も行ったヨーロッパでは、日本人も含むアジア人差別というものは、やっぱりあるんだなあと感じました。当時は悔しい思いもしたけれど、卑屈になることなんて全然ないんだ!と今は思います。

 そうやって考えてみると、世界はいいも悪いもなく、ただただそんなふうに回っているということだけなんですよね。で、今日の私はというと、そんなことがこの世界には確かにあるのだということを知りつつも、さまざまなバックグラウンドを持った人たちと、人と人、魂と魂で出会っていけたらなあと、思ったのでした。
by emispiral | 2005-05-07 20:39 | インドネシア語

水戸 恵藍舎だより


by emispiral