水戸藩歴史散歩・5  隅田川の桜と水戸藩・江戸下屋敷

 桜の話題をもうひとつ。先日、水戸から上野行きの高速バスに乗りました。首都高速を降りてしばらくゆくと、バスはほんの数百メートルだけ隅田川の堤防わきを走ります。

 折りしも、堤防沿いの桜は満開。「♪春のうら~らの~隅田川~」と、ひとりでに心の中で音楽が鳴り出しました。今は両側をビルで囲まれてしまっている隅田川も、昔はもっと情緒があったのでしょうね。

 堤防のすぐわきは、墨田公園。首都高速の高架の下で、いつも美しい緑をたたえています。ここは、江戸時代、水戸藩の下屋敷があったところ。小梅藩邸とも呼ばれ、藩主や位の高い武士が居住する上屋敷(現在の後楽園遊園地一帯)の別邸として、従者の蔵奉行、水主、鷹匠の住まいとして使われたり、船蔵や材木が置かれたりしていたところです。
 徳川斉昭のブレーンとして、また水戸学の学者として名を馳せた藤田東湖は、この下屋敷で3年間蟄居させられた折、「正気の歌」などのちに全国の尊王攘夷の志士たちを心酔させる著作を多く書きました。現在は「正気歌碑」という石碑が建てられています。

 私はこの墨田公園はいつもバスから眺めるばかりで、まだ実際には足を踏み入れたことはないのですが、いつか・・・と思っています。それでも、毎回その数百メートルの堤防沿いの道を通るたびに、当時の隅田川と下屋敷の様子や、水戸街道(現在の国道6号)を何日もかけて江戸に上ってきた武士たちの姿などを思い浮かべたりして、ひとり楽しんでいます。
by emispiral | 2006-04-04 10:32 | 水戸藩歴史散歩

水戸 恵藍舎だより


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